世の中は連休だった。
シルバーウィークと呼ばれていたが、それは11月ではなかったのか、・・・。
久しぶりに山へ行った。 具体的にいうと埼玉県の「名栗湖」方面ということになる。
それを囲む山のひとつに出掛けた。 車で行き、歩いたのは5分程だったが。
そこは「飛行場」と呼びたいが、その言葉では飛行機の離着陸の場所のように聞こえる。
そうではなく、「飛行機を飛ばす場所」としての区域という意味。
「模型グライダー」の愛好家達が、山の管理組合から借り受け、整備をしている。
クラブのメンバーではないが、見学に招待された。
山の斜面を利用して飛ばす模型グライダー。
想像できるだろうか、つまり、山の上から谷に向けてグライダーを投げ込むのである。
自分にやれと言われたら、それは怖い。 傍目に、良い度胸だなと思う。
放たれたグライダーは、翼が揚力を得るので、急激ではないが、降下を続ける。
しかし、無線で操縦され、地面に着く前に上昇気流の中に入り、徐々に高度を上げる。
そうして、位置エナジーを獲得してゆく。 それが予定のシナリオだ。
気象条件が良ければ、相当長い時間の飛行が可能に感じられたが、問題があれば着陸
させるか、もしくは墜落か、その「ふたつの間のどこか」になる。
着陸は、どのようにするのか。 斜面にはススキが群生していた。
その穂をかすめながら減速させ、機体にダメージを受けさせずに、操縦者の近くに
降ろしてくるのが理想のようだ。 かなりの確率で、それに成功するのを見た。
飛行機なら、谷に向かって投げることは出来る。 推力があれば揚力の不安がない。
しかし、動力を利用するための手だてが必要になる。 エンジンやモーターを積んで
プロペラを回すか。 もしくはジェットエンジンで推力を得るか。
そうなれば、燃料や電池が必要になるし、消費されるエナジーは格段に増えてゆく。
それらを拒否することは、古い表現だが、時代に合っていると言えるだろう。
豪快なエンジン機の迫力、それはそれで楽しい。 だが、これは別の世界の楽しみ。
しかも、「目に見えない上昇気流を感じ取る」という行為は、なかなかに魅力的だ。
いろいろな要素が絡まり合う問題を、時々刻々解決しなくてはならない。
自己の経験と研鑽と才能が、それを導く。
自然が相手であるから、駄目なときは駄目なのである。
それを受け入れる態度は自然に無理強いをせず、融和を探すことに繋がるだろう。
山の神や、風の神に祈る行為に見えた。
Musik
グライダーというと、40年前のこの映画を思い出す。
富豪で大泥棒の彼は、保険会社の調査員の前に、グライダーに乗って現れる。
翼が風を切る金属的な音を覚えている。
Steve Mcqueen & Faye Dunaway "The Thomas Crown Affair"
映画の邦題は「華麗なる賭け」といった。
ミシェル・ルグラン作のこの曲はアカデミー主題歌賞を受賞
「Windmills of your Mind」(風のささやき)