「フランダースの野で」
カナダ人の書いた詩で、これが最も人々に知られているだろうか。
第一次世界大戦の頃に書かれた。 文学に詳しくないので、「ケシの花」が出てくる詩はこれくらいしか思い出せない。
教師が戦死した教え子の埋葬に参加して、その状況から言葉を紡いだ。
墓石の間に咲き乱れるケシの花。 フランダースの野で。
ジョン・マクレイの「In Flanders Field」 このポピーはどんなケシの花だろう。
日本でケシの花の話と言えば、中国の英雄「項羽」の愛姫「虞/ぐ」を思い出す。
こちらのポピーはヒナゲシ、虞美人草として名を残す。
(日本では、丘の上に咲き、恋占いに使われる。 山上路夫の詩)
今の日本ではアヘンの採れるケシの花を見ることは稀だろう。 植物園で厳重な檻の中に見たことがある。
ポピーの種類も多い、ヒナゲシの花畑も、もちろんあるけれど、街中に見かけるのは「ナガミヒナゲシ」ではないだろうか。 戦後の帰化植物の代表的なものだと思う。
オレンジ色の花がそこかしこに咲いている、その姿は、どう見ても誰かが植えたようには思えない。 そこには繁殖力の強さが感じられる。
上のふたつの例は、どちらも死者を弔う花の姿。 再生を連想するのだろうか。
このナガミヒナゲシと日本人の心に、まだ繋がりはないようだ。
道端や、ちょっとした空き地に「ナガミヒナゲシ」が揺れている。