この写真のような風景が家の中にある、という人は珍しくないと思う。
80年代にお目見えした「直径が120mm、厚さが1.2mmのメディア」。
ここに写っているものは、殆どが「音楽CD(サンプリング周波数44.1kHz、16ビットの
パルス符号で変調し、デジタルレコードする)」だが、この先、この規格の運命は?
次の規格が出てくると、なんだか「騙されたような」気分にさせられると思う。
このメディアを使う前には、長時間用の媒体として「LPレコード」というものが一般的
だった。 それが音質劣化のない不滅のレコード盤であるCDに変わった。
永遠に不滅とは思わないが、自分の一生には、これで間に合うものかと考えていた。
しかし、それは自分の身勝手かもしれない。 人はどうしても自分を中心に考える。
別に、悪意でない場合が多いのだが、例えば、Win機の人は専用のファイルを送りつけて、
なんの心配もしていない。 心配していない、という表現は適切だと思う。
自分から見えない世界に想いを及ぼすには気力が必要だから。
CDの前にはLPレコードを聞いていたが、考えてみれば、これとて30年くらいの活躍でしか
ないようだ。 その時代のピークに買い集めた人たちには、理不尽な変革と思えただろう。
CDも四半世紀の時間が過ぎている。 過去に葬られても不思議はないのかもしれない。
むしろ、技術が革新してゆく速度を考えれば、よく生き延びたとも言える。
ユーザーはメーカーに翻弄され続けてきた部分もあるだろう。 単純に技術の優位で市場は
支配できない。 裏の闘いもある。
現在では、かつては考えつかなかった面白い、不思議な状況が現れている。
わたしたちは、自分が聴きたい音楽を「所有しなくてよい」環境にある。
通信が音楽を所有する方法を変えてしまった。
たまには欲しいCDはある。 リッキー・リー・ジョーンズの新作など手元に置きたい。
しかし、時間が経てばYouTubeで聞くことは出来るだろう。
SPからLPに変わったときには、録音音楽(つまり再生音楽)の種類に革命が起こった。
誰もSPで「マーラーの5番」は聞かないだろう(録音時間と音質の問題という意味で)。
配信される音楽も音質は向上してゆくと思うし、それを所有するとしても、形態は選べる。
聞きたいときに聞きたい音楽を聞く、それができるのは大変に有り難いことだ。
その自由の代価として、わたしたちが払う「お金の行き先」が変わりつつあるとも言える。
Musik 実際に見つけてしまった。新作「Balm in Gilead」の4曲目である。
ギリヤドの香油、その名で有名なスピリチュアルもある、
「癒しの香油」みたいな意味だろうか。