「武蔵野に来て、珍しくも愛おしい一本の紫草を見つけた。その一本を見つけたこと
が縁となり、武蔵野の草のすべてが、愛おしく思われる。」くらいの意味だろう。
この歌から「紫の縁(ゆかり)」という言葉が生まれたという。
故に、紫蘇の紫も「ゆかり」という呼称を得た。
(商業的には三島食品が、紫蘇葉のふりかけを「ゆかり」として商標登録している)
「梅干し」は名のごとく、梅(塩漬け)の干したもの。
実は、僅か二度の経験だが、干さなくても構わないと感じている。 それはそれ。
今回は特に、良い梅が手に入らなかったので、「ゆかり」に思いを込めた。
一家言持つ方が多いようで叱られてしまいそうだが、梅酢に対し相応以上の紫蘇葉を
入れてみた。 なんとか乾燥、揉みほぐしまでこぎ着けた。
屋根のある干場も必要となるような、天気に翻弄された梅干しづくりだった。
梅は改めて梅酢で洗われ、瓶の中で寝かされている。
できあがった「ゆかり」の量の少なさに驚く。 あれだけの葉が、これだけ?
この手間を思うと、売られている「ゆかり」のなんと安価なことか。
この不思議を、わたしたちは全く理解できないでいる。
* 料理記事の監修:noriko-iwamoto *
Musik
紫蘇葉に含まれるシソニンは酸に対して激しく反応する。
梅のクエン酸により劇的な発色を見せ、真っ赤になる。
前回は「赤」だったので、今回は「紫」でいこう。
Purple Haze