馬の肉はサクラ、イノシシの肉はボタン。 それらは肉の色から来ているようだ。
鹿肉はモミジと言う。 任天堂の花札の絵柄にもあるけれど、鹿にはモミジである。
きょうの写真、イロハモミジの新芽。 ふたつに分かれて、偶蹄類を連想させないだろうか。
モミジであるから、ここは「鹿」の蹄としよう。 ふたつの蹄が見える。 偶数である。
偶蹄類は第3指と第4指の進化したものらしい。
対して、奇蹄類として「馬」を考えよう。 第3指が進化したという蹄はひとつ、奇数である。
蹄を持つ動物を「有蹄類」というけれど、それらの進化の過程で鹿は2本指、馬は1本指となった。
その理由は何だろうか。 彼等にとって、どのように進化することが有利だったのだろう。
鹿は山や足場の悪いところでも、2本の蹄があることでバランスを取り、駆け上ったり駆け下りたり。
馬は草原を早く走ることが出来る。 草食の彼等は、その走力で捕食者から逃れることが出来る。
それぞれに生存方法と蹄の数が理に適う。
さぁ、ここまで来れば次のエピソードは連想できるだろう。
役者を増やそう、「ヒヨドリ」の登場。
ご存知「一の谷の合戦」。 平氏を追撃する源氏は、海と山の二手に分かれて奇襲を掛ける。
不可能とされた山側からの攻撃、指揮を執るのは源義経。
その急激な坂が、馬で降りることを躊躇わせる。
そこで、地元民が言ったらしい「この谷を鹿が行き来する」という話が出て来る。
そして、名台詞。 「鹿も四つ足、馬も四つ足。 鹿が越す坂ならば、馬も越せぬ道理は無い。」
言い放つや、義経は先頭を切って、この急坂を馬で駆け下りた。
それを見た軍勢、大将に続いて一気に坂を降りてゆく。 山壁を背景に、その音たるや雷の如し。
全くの無防備だった背後からの奇襲に、平氏の陣は慌てふためき総崩れとなった。
これが世に名高い「鵯越の逆落とし/ひよどりごえのさかおとし」なのだが・・・。
義経は、偶帝類と奇蹄類の本質的な違いに気が付いていたのだろうか。
もし、気付いていないなら、偶然性の高い勝利だったと言える。
それとも、牛若丸時代に鞍馬山で鹿と馬の比較検討が出来ていたとしたら・・・。