世の中に「桐の箪笥」というものがある。 材料が桐という木材。
軽く軟らかく、安定しているので、「力」のかからない細工には適している。
湿度が上がると引き出しの動きが悪くなる。 空気中の水分を吸って膨張するから。
これにより、外部の湿度を遮断し、内部に湿気を入れないという。
逆に、乾燥すると木が縮んで動きが良くなる。 引き出しの空気も出入りする。
これにより内部が乾燥を保つという話がある。
奈良に「正倉院」という倉庫がある。 校倉造りという壁の構造を持つ。
木材で作られ、今説明した理屈が展開される。
湿度が上がると外壁が膨張して外部の空気を内部に入れない・・・教科書にはそう書いてあったけれど、どうなのだろう。
試すなら、正倉院の屋根に穴を開けて上から水を入れてみるしかない。
風呂桶のように水を貯めておけるものだろうか。 残念ながら、そうは思えない。
この精緻で美しい建物の効果は、温度や湿度を急激に変化させないことにあるだろう。
変化を穏やかにすることで、内部の御物の傷みを遅らせる。
我が家にも桐の箪笥があって、外部は・・・、アミの餌食となっている。
防護用の網を取り付けてある。 それと、爪を切るようになってからは、引っ掻くことはなくなった。
桐という素材、ちょうど、ネコが爪を立てるのに最適と思われる。