東京都中央区の話、例えば証券業界の代名詞のような「日本橋兜町」は有名。
日本を代表する金融街。 そこに隣接するオフィス街に「茅場町/かやばちょう」というところがある。 このふたつの街、最寄り駅は「東京メトロ」の茅場町駅。
兜町の隣が茅場町? これはちょっと面白い。
茅場町と呼ばれるからには、言うまでもなくカヤに関係した地域だったのだろう。 育てていた地域だろうか。 茅畑ほどの広さは無いように思える。
中央区の説明では、江戸城拡張工事の際に、この地域に「茅商人」を移住させたということらしい。 江戸城に茅葺きの屋根もあったのか、とにかく当時としては重要な建築資材だった。
同じく中央区の説明によると、兜町は「源義家」の「奥州征伐」まで遡る話があるという。 ここには、1,000年近く前の伝説が残っている。
彼こそは石清水八幡宮で元服し「八幡太郎」を名乗った武士の中の武士。
ところが1,000年で驚いてはいけない。 この地域には「兜神社」というところがあり、その縁起によれば、もう100年遡り、「平将門」まで出てくるのだった。
他所から来て、東京に住んでみて思い知った。
明治以降に逆賊として扱われた「将門」ではあるけれど、彼は「あづまの王」だった。 とても人気が高い人のようで、関東各地に伝説が残る。
これは他地域の人の実感とはならいと思うけれど、地域の神というものだろう。
いずれの伝説にせよ、そのように、兜町は勇ましい英雄に因む町なのである。
なるほど、株屋さんも良い地域に縁を得たものだ。
それに引き換え、茅商人の街は「茅の揺れる姿」から柔らかさを感じる。 しかし、その葉の端には細かい鋸の歯を纏う。 だから、見くびって迂闊に触れてはならない。
ふわりと穂を膨らませ、風に揺れる茅。 我が家では「ススキ」と呼んでいる。