10年くらい前の夏のこと。 わたしは庭に出ていた。 そこへ出掛けていた奥様が帰宅してきたが、肩から掛けたバッグを素早くおろし「危ない」と小さく叫んだ。 足早に通り過ぎた彼女は、玄関付近に立て掛けてあった捕虫網の柄を握ると、空中を振り抜いた。 地面に押さえつけた網を見ながら「スズメバチ~~~!!!」。
その後、彼女はわたしの命の恩人ということになった(笑)。
人間はふたつの種類に分けられるという言い方がある。 スズメバチを退治したことのある人間と、そうでない人間。 それから何年もして、わたしにもチャンスが巡ってきた。 空中にいても毒を振りまき、それが目に入ると人間は失明の危険があるというスズメバチ。
庭の水撒きや洗車のための水栓というものがある。 ホースの根元が蛇口に繋がれ、先にガンが付いている、我が家のものは水圧もごく普通のタイプだが。
蛇口を開け、ゆっくりとホースを引き出す。 トリガーに指を掛け、低空を飛ぶのを待った。 そこへシャワーを掛ける、地上へ落下、相手がひるんだ隙に踏みつぶした。
あの羽根は複雑に動く、それ故に機敏な飛行が出来るのだが、羽根の自由が保障されないと大きな弱点になる。 これは永年にわたる飛行体研究の成果なのだ。 凱旋する。
ところで、これってスズメバチに間違いない?