「菜の花や 月は東に 日は西に」 与謝蕪村
誕生日の花というものを決めたい人や団体があるようだ。 世界共通でないところが、扱い難いところ。 菜の花が、3月7日の誕生花という説もあった。 この句は、春の夕暮れを大きな画角で捉えているが、押し付けがましくないところが好きだ、緩やかな空気を感じさる。
わたしたちが頭から追い出した方が良い言葉「音楽の父、J.S.バッハ」。
息子達に取って代わられ、時代から退場を迫られ、以後永い時間埋もれたままになっていた作曲家。
彼をバロックの最後の作曲家とすると、どうしても音楽の変遷という流れが、淀む。 音楽史を追わずに聞けば良いのだ。 歴史上の位置づけなど関係なく、誰と比べる必要もなく、彼は音楽の超巨星なのだから。
バロックからクラシックへ橋渡しというなら、これも蕪村と同時代に生まれた夭折の天才「ジョヴァンニ・バティスタ・ペルゴレージ」も重要ではないだろうか。 ただ、あまりに短いその活動期間。 彼は26歳で人生を終えた。
20世紀の終わりに、サザビーがシアトルからコーヒー屋を連れてきた。 ハーマン・メルヴィルの小説に出てくる航海士みたいな名前だった。
それまでは、日本で「スタバ」といえばこの曲のことを指していた。
宗教音楽「スターバト・マーテル/悲しみの聖母」。 たくさんの作曲家がこのラテン語の詩に曲を付けたが、ペルゴレージの曲が最も美しく、愛されていると言えるだろう。
詩は、「悲しみの母は涙にくれ、御子が掛けられた十字架の元に佇む」、と始まる。
あるとき、蕪村のこの句から、昇天してゆくキリストと悲しみに沈むマリアを連想してしまった。
「アンドレアス・ショル」と「バーバラ・ボニー」で。
ショルはカウンターテナー、アルトの音域で歌う。 バーバラ・ボニーはソプラノ。
男声と女声の対比を楽しみたい。 Stabat Mater