先日、庭で見つけた「フキノトウ」、ひとつ開いてきたので採ることにした。 熊が冬眠から覚めて、最初にフキノトウを食べるという伝説は、その話を信じさせるかのような、覚醒を誘う苦みと香りを表現していると思う。
キク科の多年草植物らしい。 雌雄異花という、でもどちらだか分からない。 調理するというほどの量でもなく、みそ汁に散らしてみたが、さすがに売り物とは違う。 庭で採れたものは、なんであれワイルド。 「子供なら泣いちゃうよ」、というものが多い。
ここは大人、「おぉ〜、効く効く」。 自分としては美味しいものに感じる。
しかし、こういうものは「社会的な味覚」だろうか、つまり、持って生まれた味覚なのか、思い込まされているのか。 冬眠から覚めた熊の話が本当なら、自然が導いたもののようであり、そうでなければ、意図的な作り話か。
そんな思いが頭の片隅を流れながら、食事は進んだ。 料理は、その調理という技術を含んで「科学」であると思う。 そして、味覚はその個人の「教養」を表すことになる。
今度の冬、当地では出だしが早かった。 寒さのピークは過ぎた、いや、気温の低さについて言うのなら、底を打った、と言うべきか。 暮れからの思いがけない低温も、忘れてしまいそう。 洗濯物が光りながら春風に揺れている。
Musik 冬の太陽