「そろそろ腹が減ってきたな、あの子豚も家に隠れたままだ」
「ちょっと穴から出て、脅かしに行こうか」、そう思ったときでした。
狼は4本の脚先に震えを感じ、立ち止まりました。
その途端、地面が下から突き上げて、それからグラグラと揺れたと思ったら、
穴は崩れて、狼は土に埋まってしまいました。
子豚が隠れているレンガの家も、揺れながら崩れはじめました。
壁が壊れ、屋根も落ちてしまいました。
子豚は逃げることができたのでしょうか。
狼が、埋まった土からようやく抜け出してきました。
子豚の家に近づくと、そこはレンガの山になっています。
子豚は生きているのでしょうか、死んでしまったのでしょうか、
それは分かりません。
狼は思いました。
家がワラでできていたら、下敷きになっても大丈夫だったのに。
もしも、木でできていたら、「痛い」と言うだけで逃げられたのに。
「きっと下敷きになっているに違いない」
狼は楽しそうにレンガをひとつひとつ片付け始めました。
「きょうは久しぶりに、ご馳走が食べられそうだぞ」