コストコ話の続き
香りを付けたコーヒーがある、フレーバーコーヒーとかフレーバードコーヒー
とかいうらしい。 これはコストコで買える「ザビダ」というブランド。
少し香りが欲しいだけなので、これを混ぜたりする。 普段から飲む人には
逆に物足りないかもしれないが、刺激は頻度に反比例するもの。
特に寒くなってからは、ちょっとした香りが醸す複雑な味に暖かさを感じる。
夏にサッパリした味が欲しくなる気持ちの、反対の作用かもしれない。
豆をブレンド、家でガリガリと挽いてペーパードリップするだけ。
いわゆるメリタ式だと思う、最近まで、この「メリタ」は人の苗字だろうと
思い込んでいたが、これは下の名前で苗字はベンツというらしい。
「メリタ・ベンツ」という女性が発明したそうだ。
この名前を知った途端に、ある名前が頭の中から消えたような気がした。
歳のせいだろうか。 ひとつが入って、ひとつが押し出されたような気分。
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調べてきた。 名前が似ているが、自動車で有名なカール・ベンツの奥さんは
「ベルタ・ベンツ」、余計にこんがらがってしまいそう。
彼女は「世界初の女性ドライバー」という栄誉を授けられた人だ。
自動車が役に立つ製品であることを、自らの長距離旅行で証明した。
(蛇足:「メルセデス」はダイムラー社の有力なディーラーの「娘の名前」)
ネルドリップの方が美味しいという人が多い。 そうかなと感じてはいるが、
あれはなかなか管理が大変そう。
以前、伊豆の焙煎屋に行ったことがある。 長八美術館とセットにした小旅行。
この美術館は、鏝名人「入江長八」の仕事を見ることができる。
(「鏝」という字が変換できてしまったが「こて」と読む、彼は左官である)
焙煎屋は、面白い商売だと思った。 外国の産地から生豆を買い、自身の技術で
コーヒー豆を焙煎して、その手数料を得るわけだ。 材料も完成品も作らない。
この仕事は何に似ているだろう、染め物屋とか・・・?
場所や土地柄の制限を受けない仕事だと言う、農業もやってみたい気持ちが有り、
夫婦で伊豆に引っ越したそうだ。
香りを足したコーヒーなんて邪道だと言うかもしれない、と今思う。
彼は自ら焙煎し挽いた豆を、ネルドリップで試飲させる。
そこで飲んだコーヒーが、最も美味しかった。 コクとキレ。 冴えて深い。
Musik
写真の背景の白いイスが、天使の羽根のように見える、と勝手に思っている。
彼は自分の部屋で、自らテープに録音したようだ。 なぜ、なんのために?
ささやかな音だ、手を差し伸べている天使が、彼には見えていたのだろう。
この後、彼はレコーダーを止める。 その突然な終わり方が、せつない。