電車に乗って沿線を散歩するテレビ番組がある、関東ローカルだが。
その件で資料をまとめてあったので、今回の取材時にはその段ボール箱を
ポンと出すだけで済んだ。 「昔の様子はこの箱の中に」。
そして今、昔のことを思い出している。
引っ越してきた頃には、家に家具が付いていたか、そうでなくても、それらは
簡単に手に入った。 業者も居たし、とにかく周りに沢山あったから。
業者といっても、それは素人のようなもので、ちょっぴり怪しさもあった。
一番怪しかったのは「煙突掃除のオッチャン」である。
当地に生まれ育った方なのだろう、三多摩弁炸裂のシャベクリは笑わせてくれた。
そう、各家には煙突があったのだ。 しかも、それは2本以上。
1本は給湯、もう1本は暖房。 そして、年に一回は掃除が必要。
兵隊さんがステイツ(こちらではアメリカ本土のことを、そう呼ぶ)に
帰ると、家を掃除する、そして管理事務所は米軍のインスペクションを受ける。
その掃除のときにガラクタが出る。 それをなんらかの形で入手するのだろう。
それを、我々日本人は「お譲り頂く」わけだ。
いわゆる家具、ベッドやソファ、デスクにチェア。 全てがちょいとデカい。
その他では電気製品もあった。 我が家でも永らく使った「電気鍋」は重宝した。
「すき焼き」も出来たし、いわゆる鍋物に対応してくれた。
底がフラットで、内側はテフロン加工、底の裏に電熱ヒータが仕込んである。
確かGE製。 日本のACアウトレットに対応したプラグが付いていた。
(話が少し脱線するが、何故、日本では壁のアウトレットを「コンセント」と
呼ぶのだろうか。奇怪である。アウトレットが集中、つまりコンセントレイト
しているから? これ以外にはまったく思いつかないが・・・。 語源的には
con+center+ate? 日本の「コンセント」は、あんまりな言葉ではないか?)
失礼、non tanto で行かなくっちゃ。
オイルヒーターは原始的なものだった。 灯油を流し込んで火を付けるだけ。
燃費は相当に悪い筈だ。 でも、我が家にあった「コールマン」のそれは、色も
形も美しかった。 国立駅前の有名な喫茶店「邪宗門」でも見かけたことがある。
今は知らないが、昔の阪急電車のような色だった。 シブい。
で、家の中を見渡してみるが、今となっては、当時のものはあまり見当たらない。
寝室に、こちらで「パインのチェスト」と呼ばれる「引き出し箪笥」がある。
いわゆる払い下げ品、まさに安物。 どこの家にも置いてあったような気がする。
材も細工も、どうってことはない。 材のパインがムクであることだけが救いだ。
というかフラッシュ構造にすることが、面倒なのではないだろうか。
これは良いところに気がついた、たぶん、その行程を経るよりムクで製造する方が
トータルに安いのである。 米松は無尽蔵、デカい重いは問題外の物量世界。
このチェストはどこから来たのか、ふたりで話し合った。
なんと、「佐渡のK」さんから譲り受けたものだということになった。
この件の経緯は忘れたが、そういえばそうだった。
大きさを説明すると、h - 34inch w - 41inch d - 20inch くらい。
さて、この引き出しの底が抜ける、という事故発生。 誰も驚かない。
晴れていたので衣類は虫干し、引き出しは緊急修理。
(世の中には「ハタガネ」の無い家庭もある、こんなとき、どうするのだろう)
大きなお世話は置いておこう。
それにしても、ちょっとした営繕なのに道具はたくさん使われる。
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