ここまで永く生きても、ひとりの人が経験することには限界があると思う。
そこまで大げさに言わなくても、きのう紹介したアジサイは驚きだった。
枯れて輝いていたから。
枯れるということは、その花の命の終わりであるとも言い切れない。
でも、哀しみを伴わないものではない。
近くの公園に、なぜだか、細くて短い遊歩道のような出入り口がある。
初めて、そこを歩いてみた。 直線ではなく、カーブを含んだ道が設えられていた。
いつ、誰が通るのだろうかと思われるけれど、道の両側は細い花壇になっている。
そこに、綺麗に枯れたアジサイを見つけた。 人の目に触れず、時が封じ込められたようだ。
花びらが繊維を残して、レースのよう。
静かな佇まい。 こちらはこちらで美しいと思う。
きょうは、冷たい雨。