かつての日本の盟友であったドイツのナチス。 第二次世界大戦の末期、無人の飛行体を開発していた。
それは、ドイツの空軍が開発した「V-1」(固形燃料)と、陸軍の「V-2」(液体燃料)という巡航ミサイルの始祖ともいうべき兵器。
当然、日本でも開発が進む。
ロケットには固体燃料を使うものと液体燃料を使うものがある。
固体燃料は扱いが簡単だけれど、一度点火すると制御の範囲は限られる。
液体燃料はポンプや噴射機を積んでいる。 システムは複雑になるけれど制御が可能。
先日、打ち上げ延期となった「イプシロン」はその簡潔さ、つまり費用の安さから、固体燃料を使っている。 失敗の可能性など無いかに思われたけれど、期待は裏切られた。
正しく発射中止に導かれたということは、科学としては正しいかもしれないけれど、子供たちの夢はどうなるのだろう。 「宇宙への敷居を低くする」と自慢したイプシロンだったのに。
子供たちの夢が萎んだということは、永い目で見れば敷居は高くなったのではないか、と心配する。 JAXAが、弱者にならないよう祈るばかり。
福生の図書館には、郷土の歴史に関する資料室が併設されている。
今世紀に入って、横田飛行場の滑走路の下から見つかったボトルを2本紹介しよう。
「コンプラ瓶」を連想した。 長崎の波佐見焼きの壺、東インド会社を経由して遥か遠くへ運ばれていた。 日本の酒や醤油を詰め込んで。
紹介の白いセラミックの瓶には、マークが付いている。
説明によれば、陸軍と海軍のものだという。 珍しいことに両軍が共同して開発していたのだとか。
さて、この瓶の中味は? 驚くなかれ「過酸化水素水」、つまりこの場合はロケットの液体燃料の酸化剤と考えるのが妥当。
担当者の説明を聞くと、対空攻撃の届かぬ遥か高空から爆弾を落とし続ける「B-29」を撃墜したかったのだと。
多摩飛行場(現在の横田飛行場)には、陸軍航空審査部というものが設置され、航空機、航空兵器、航空燃料の研究や審査が行なわれていたそうだ。
尚、この燃料瓶は「日本碍子/ニッポンガイシ」(NGK)の製造という。