「尾崎英里」さんと「アトリエ・オザキ」のこと。
28日、記事のタイトルで「雪の花と氷の花」という言葉を使った。
「石の花」という焼き菓子の名前に誘われたから。
それを作るのが「尾崎英里」さん。
1998年、長野県の鬼無里村(きなさむら)に「アトリエ・オザキ」を訪ねた。
当時は写真にあるNHKの番組を見続けていたし、番組のテキストも定期的に購入して勉強していた。
アトリエに電話を入れ、会って頂けるようお願いした。
はっきり言って秘境である。 山を越え谷を渡り、家人の運転でクルマは進む。
彼女は、それ以前は千葉でケーキを焼いていたと思う。
鬼無里に引っ越した理由は簡単、その地の小麦が気に入ったからだ。 明快な論理。
「石の花」はドライフルーツの入ったパウンド型の焼き菓子。
もうひとつの定番は「木の花」。
家人は、焼き菓子自体は影響を受けたとは思わないと言うけれど、受け継いだものがあるように感じる。 直接会って教えを請うというのは大事なこと。
プロもアマもない、田舎の人は何でも自分でやってしまうのだ、と聞かされた。
そのとき、お元気そうだったので、全く心配はしていなかったのに、ふとしたことで彼女が亡くなったことを知った。 2003年のことだそうだ。 理由は知らない。
彼女が自分の工房をアトリエと呼ぶのは、たぶん女子美の卒業生で、絵を描いていた経験が永かったからだろう。 菓子作りにも同じような態度で臨んでいたと思う。
「石の花」とはロシアの民話。 それを原作にした映画を見たことがある。
なぜ、その名を自分の焼き菓子に付けたのか、訊ねておけば良かった。