秋の日は釣瓶落とし、という言葉がある。 意味は「秋はあっという間に日が暮れる、その太陽の沈み方は、井戸に釣瓶が落ちるように速い」、とも言われる。
太陽は、見かけ上、だいたい24時間で360度くらいの移動をする、だから、沈み方は変わらないので、この話は何を言っているのだろうか。
日暮れの時刻が早い? しかし、明らかに「秋」より「冬」の方が日暮れは早い。
好意的に考えて、「日の入りの時刻が日々驚くほど早くなってくる」という意味。
でも.誤解を招く言葉である。
きのうに比べるとあっという間に暗くなるよ、と言いたいのだろう。 日中時間の変化は日々一様ではなく、春秋は夏冬に比べて「約3倍の変化幅」を持っているのだから。
それに加えて、心理的な時間の感覚と実時間との差が大きく乖離する危険を言っているのかもしれない。
「きのうの感覚でいると、きょうの日の入りは思っているより早いから用心しよう」
たぶん、こんな意味を、あの言葉に託したのだと思われる。
太陽は、夏は空の高い所に来る日も来る日も居座り、冬は毎日、低いところに見える。
というわけで、寒い冬は、まだまだまだまだ続くのである。
家の中に、低い光が射し込んでくる。 思わぬところで、光が見つかる。