そこでナポレオンⅢ世は考えた、バターより安くて、その代わりになるものを作れないだろうか。
彼は広く公募した、それに応えたのが当時の科学者メージュ・ムーリエ。
そして、牛脂などを原料としたらしいのだが、真っ白なバターのようなものを造り出したそうだ。 そして、1869年に人造バターのフランス国内特許を取得した。
20世紀には植物由来の「バターのようなもの」が開発され、戦後はこれが主流となる。 一時期は、動物由来の「バター」よりは身体に良いという話もあった、風味には欠けるけれども、身体に良くて安いなら、我慢して食べようか。
真っ白な塊はバターに似せて黄色く着色されている。
家人の姉が結婚三十年を迎えたときに、花を贈った。
「真珠婚式」である。 花の種類は「マーガレット」しか思いつかない。
Margaret/マーガレットの語源は、ギリシャ語の「margarites/マルガリテス」、つまり「真珠」だと思う。
さて、件の人造バター、ご存知のように「margarine/マーガリン」と呼ばれる。
その白い色が誘い出した名前だろう。
さて、話は冒頭に。
植物油を使ったマーガリンはは身体に良い筈だったが、今は少し違う判断がなされているようだ。
「トランス脂肪酸」問題。 科学的常識は変化する。 また、逆転の日が来るのかもしれないが、マーガリンは雌伏の時代を迎えている。
しかし、完全に身体に良いものなんてあるのだろうか。
組み合わせや、量や、人種に由る適合など、全ては簡単に解決できないもの。
世の中には煙草を吸う人もいれば、酒を飲む人もいる。 食べものの好みも様々だ。 意図せざる選択を強いられる人もいるだろう。
テキトーにやっていくしかない、non tanto の精神で。
Pearl Fisher ( Bizet )
JE CROIS ENTENDRE ENCORE