逢魔時は大禍時とも書く。 とても不吉な時間帯のことだ。 夕暮れ時の一瞬、四辺を雲が覆い、湿った風が吹いたことがあった。 揺れる花を見て写さなくっちゃ、と思った。 急いでカメラを持ち出したが、スイッチを押しても起動しない、バッテリー交換するけれども反応無し。
風が少し収まり、周りが僅かに明るくなった頃、スイッチが入っていつもの起動音が聞こえた。 間抜けな電子音でチャララ~ン。 遅いシャッターを切りたかったが、三脚をセットする時間は無いように思われた。
呼吸を整え直して、手持ちで撮影。 魔物は写っていなかったようだ。
魔物はいろいろな形に変容するらしい、昼間の光の中では邪気は形を結べない。 昼から夜に変わるときの一瞬にアヴァターを獲得するのだろうか。 夜更けて、ひとりで見つめるモニターの中から、あなたを見ているかもしれない。
そうでなくても、明かりを消してモニターを覗くと、あなたの顔だけが闇に浮かび上がっていることを忘れてはいけない。 急に、家族がそれを見たら、気を失うだろう。
本日は「補助灯のお勧め」、ということで。
(ふたつの言葉でタイトルがマドレデウスのようになりそう、そこで暗闇を付け足した、ジャズのスタンダードのようになった。気分を変えてビューティフルな音楽を。)