ダイアナ・クロールの歌とピアノで 「静夜」
彼女は、誰もが認める美人というタイプではないと思うし、同じ言い方でスタイルが良いとか、そんなタイプでもない。 話す声も、太すぎるようで、好きではない。
けれど、ひとたび彼女の指がピアノのキーに触れ、その口から歌声が生れ出ると、時間と空間を圧倒する。 まるで、美しい女神に変身したように感じる。 名前からすれば「月の女神」だろうか。
寒過ぎる雛祭りの夜も、静かに更けていった。 雲の彼方には音もなく瞬く星々が輝いていたのだろう、明るい月に光を薄められながら。