タレントショーというものがある。
それはたぶん、タレント(才能)発掘のためのオーディションや、テレビ番組だと思う。 主催者は「灰かぶり姫」を探している。
今は灰にまみれて、その真の美しさや才能を見いだされていない、原石。
サンドリヨン/Cendrillonと言う、英語ではシンデレラ/Cinderella。
日本ではシャルル・ペロー版の童話が広く知られている。
タレントショーには功罪が共にあるので、簡単な判断のできないところだ。
このblogでも09年8月16日に「コニー・タルボット」を紹介した。
きょう、紹介するシンガーもタレントショー出身だ。
リサ・ロイス/Lisa Lois 。
いろいろとご批判もあるだろうが、「X-FACTOR」というタレントショーで優勝した。
こういう切っ掛けで人生が少しずつ変わってゆくと思う。
良い方向へ向かってほしいと願うばかりだ。
曲は「レナード・コーエン」の傑作。
実は曲が良すぎて困る。 誰が歌ってもそこそこに聞こえる。 もちろん、うまければ、この歌の魅力は際限がない。
弦やコーラスで包んで盛り上げれば効果は絶大だが、今回はピアノだけの伴奏で。
みなさんが、ここで紹介した音楽をどのように聞いているかは、こちらには分からない。
聞かない人がいてもそれはそれ、仕方ないことだ。
ひとつの例として書いて良いなら、オーディオに繋いで、ある程度大きな音で聞いてもらえれば嬉しいが、各人の事情は様々。
今回のことを説明すれば、レナード・コーエンの歌を探していて偶然に見つけた。
夜中に暗い部屋で、ヘッドフォンを掛けて探しまくるわけだ。 大げさに言えば、たったひとりにでも音楽の奇跡が伝えられたら、そう思って寝る時間を削る。
こちらも、その作業で思いがけないものに遭遇することがあるので、苦労は無いけれど。
ヘッドフォンで聞きながら、マックのヴォリュームキーを何度も何度も押していた。
スタインウェイ&サンズの低音が聞こえる環境で楽しんでもらえたら嬉しいのだが・・。
終盤、彼女のフォルテッシモ、そこにエコーが掛かる。 涙が出そうだった。
伴奏は簡素で、最後も単純すぎるようなアルペッジオ、それを声が押さえ、そして包んで終わる。
彼女の声はまだプロというには問題があると思うが、こういう曲を歌うことは、自分に纏わりついた数々の苦労の衣を、少しずつ脱いでゆくような行為なのではないだろうか。