我が家の七人姉妹。
野生の栗には、こんな薄い実も入っている。それを乾かして7本のスプーンを作った。
今月の空は忙しい。 1日、月食。 15日、日食。 25日、星食。
星食とは恒星食、星が月に隠される現象のこと。考えてみれば、珍しいことではない。毎晩のように起こっていることだから。 しかし、今回はお馴染みの星が隠される。 和名を「すばる」という六連星(むつらぼし)、有名な「プレアデス星団」が消える。
「枕草子」第二三六段の一節で、清少納言は「星はすばる」と言う。 六連星の潤んだ青い光。 その美しさが、古来より人々の注目を集めていたことが分かる。
「すばる」を説明すると、普通はこのようになる。 「プレアデス星団」、おうし座の散開星団であり、メシエナンバー45。 フランスの彗星研究者シャルル・メシエが彗星と間違えそうな天体の一覧表を作ったのだが、その45番目にあたる。
これは、W.A.モーツァルト(1756~1791)の時代のこと。 彼は103の天体を選んだが、後にメシエ/Messier の頭文字を取って、例えば「M45」のように呼ばれるようになった。
日本で一番有名なのは、オリオン座の散光星雲「M78」かもしれない。 それは、地球を異星人の攻撃から護ってくれた「ウルトラマン」の故郷として知られている。
(現在では、メシエナンバーを使わない。 NGC/ニュージェネラルカタログを使用する)
「富士重工業」という自動車メーカーがある。 ブランド名が「スバル」。 マークは六連星。 今回の食では、プレアデス星団で最大の星「アルキオーネ」も月の陰に隠される。 「スバル」ブランドの旗艦(フラッグシップ)は、もちろん「アルシオーネ」ということになる。 いつか「大きな影」から出て復活してもらいたい。
わたしたちが六連星と呼ぶのは中国文化の影響で、ギリシャ神話ではこの星団を「七人姉妹」と考える。 文化による数字に対する感覚の違いが、現れている。
Musik
M45ならぬ、モーツァルトの「K.45」は交響曲7番、ちょっとイメージに合わない。
ならば、枕草子からの連想で「K.236」。 北半球、冬の夜空の贈り物「プレアデス」には、こちらの方が相応しいだろう。
カール・エンゲルのピアノで「アンダンティーノ」、遠い星の瞬きのような、静かで、確かで、誠実な音に聞こえる。 さすがに歌の伴奏者として名声を得た人らしい演奏だと思う。
Andantino in E Flat Major K . 236 - Karl Engel
音楽を聴きながら、この画像をどうぞ Pleiades - M45 - Seven Sisters