去年の冬至の日、いや違う、一昨年の冬至の日だった。 その夜は、強い風が吹いた。
翌日、目が覚めて庭を見ると、いろいろなものが風で吹き飛ばされていたのだが、大きく
景色の変わった所があった。 正面のフェンスに括り付けてあったラティスが、なぜだか
車に寄りかかっている。 それを片付けにいって、気がついた。
車の右後部ドアにぶつかってドアがへこんでいたのだった。 飛来物の衝突ということで
保険が使えたため、しばらく預けて修理をしてもらった。
去年の暮れに、「そんなことがあったな」と思い出しながら久しぶりの洗車をしていると
フロントグリルが割れているのに気がついた。 いつ、どこで、どうなったのか・・・。
対象物が想像できない。 何がぶつかったのか、殆ど正面から受けた衝撃の痕跡。
ドライバーが記憶にないと言うなら、それは考えても時間がもったいない。
正月休みが近く、修理はできないままに年を越した。
グリルは取り替えなくてはならないが、いくらするものか調べてゆくと、我が家の車は
前期型。 つまり購入後にマイナーチェンジがあって、現行型と微妙に違う。
夫婦ふたりとも、すれ違う車が「前期か後期か」見分けがつくようになってしまった。
そんなこと、知りたくもないのに。
経済状態から言って、修理に金を掛けていられない。 だいいち来月には2度目の車検。
ふたりでグリルの取り外しに挑戦した。 彼女の方が腕が細い、奥まで入れる。
しかし力が弱い。 やりながら思い出したことがある。 昔のことだが、懐かしい。
この状況はそっくりだ。 彼女はギターのサウンドホールに「肘まで入る」ので、修理の
手伝いをしてもらっていたのだ。
死ぬほどの苦労もなく、素手で、殆ど何の道具も使わず、わたしたちはグリルを外した。
作業したい部分が狭いため腕まくりをしていたので、ちょっとした出血が2か所。
傷を受けたバンパーの下地を調整して、現在は同色のペイントの入荷を待っている。
もちろんバンパーを外せば安全に作業ができるのかもしれない。
iMacのハードディスク換装よりは楽だった。 たぶん新しいグリルの取り付けは正面から
「押すだけ」のはずである。 そういう構造なのだから。
塗装が必要な傷も、小さな部分に分かれているので、自分でやってみよう。
現場を離れると、億劫になるし弱気にもなるが、昔を思い出さなくてはいけない。
誰だって何だって出来るものなのだ。(そう言って良いのかな・・・?)
楽器のリペアーをしていた頃には、(これは秘密だが)仏像だって修理したじゃないか。
どう考えたって、ヴァイオリンの塗装よりは簡単だ。 しかも自分の車。
とは言え、とんだ仕事始めになってしまった2010年。
Musik キズを発見したときには、こんな感じ。 The Eve Of The War