一日中降った雨も止んだ。 50ミリ以上降った雨を乾かすように光が降り注ぐ。
見れば、庭の色々なものに水が溜まっている。
「庭で山芋」のとき、ムカゴを手近にあったホタテ貝に入れていた。
その貝殻の写真と、きょうの庭の風景が結びついて思い出したことがある。
もう何年も前のことだ。 その日、前日から夜明けまで雨が降った。
朝、ドアを開けて外へ出ようとすると、思わぬ光景が待っていた。
まだ、アミが我が家に来る前のことだが、庭に置いてあったあのホタテ貝に
水が溜まり、それを見知らぬ猫が飲んでいた。
別に逃げるでもなく、ゆっくりと何度も舌を出し、雨水を舐めていた。
脅かせないよう静かに見守った。
暫くして、飲み終えた猫はこちらを眺めたが、無造作に向きを変え、庭の外へ
向かって歩き出した。 雨は小降りになったとはいえ、まだ止んではいない。
ホタテ貝の水ということが、おかしかった。
それが、ホタテ貝を頼りに歩くスペインの巡礼を思い出させたからだ。
それはサンティアゴ・デ・コンポステーラへの長い旅。
思わず、後ろ姿の猫に、心の中で尋ねてみた「巡礼の旅ですか?」
驚くことに、その猫が振り返った。
「サンティアゴへ参ります」、動きを止めた目がそう言ったように思えた。
それから、その猫は見かけていない。
痩せてはいたが、骨格の大きな、薄い縞模様の猫だった。
Musik
今回は是非とも、スペイン「ガリシア地方」の音楽家を紹介したい。
彼はこの地方のバグパイプ「ガイタ」の名手でもある。 世界的パイパー。
カルロス・ヌニェス Carlos Nuñez