「Cool Hand Luke」、邦題「暴力脱獄」という映画は大変素晴らしい。
内容は文句のつけようがない。 20世紀を代表する映画のひとつだ。
ただひとつ、個人的な感想だが、この邦題が気に入らない。
例え、暴力的なシーンであったとしても、もっと内省的で静謐な調べが、
通奏低音のように聞こえてくる。
だから、この言葉が上っ面の装飾音に耳を向けさせるようで嫌なのだ。
「もったいない」という気がしてしまう。
以前、アラタ・クールハンド氏にその事を話してみたが、彼はそれほどの違和感
を持っていないようだった。 年齢のせいか、年代のせいか。
日本で、このタイトルを付けられた理由は、想像だが、この映画の10年以上前に
「暴力教室」と邦題を付けた映画が話題になったからではないだろうか。
こちらのタイトルは「ブラックボード・ジャングル」である。
ブラックボードは教室にあった「黒板」だろうが、このふたつの言葉を繋げ、
どのような意味にして伝えたいのか、微妙なところは判断できない。
これが、何々ジャングルという言い方としては、知っている中で最も古いものだ。
jungleは密林地帯で、そこは法が及ばず、暴力が支配する場所ということか。
これは自己中心的な意見のようでもある、人さえ居なければ、それなりの秩序が
保たれて、動植物が命を繋いでいる筈だ。
「この世の全てが人のために存在する」と考えている人から見れば、野生の
暴力に支配された場所かもしれない。
暴力教室という邦題の方は、まだしも根拠を感じる。
しかし、「クールハンド・ルーク」に対しては、価値を高めただろうか。
とにかく、これらの邦題は「ちゃっちい」気がする。(他にもあるけどね)
「教室」のほうもなかなかの映画であることは、嬉しい。 重要な作品と言える。
この映画の歴史的価値として、使われた音楽のことを書かなくてはいけない。
有名な曲だ。 音楽史的には「ビル・ヘイリーと彼のコメッツが演奏する音楽、
ロックンロールというジャンルで初めて大ヒットした曲」と言われている。
繁栄を極めた50年代のアメリカ、そろそろ世代間闘争が目に見えて来る。
そして、色々な問題を巻き込み、渦は大きくなり、世界に広がってゆく。
Musik
個人的にはこれをロックンロールとして受け止めにくいが、世の判断である。
これも知らない人はいないだろう。
Rock Around The Clock