歯の定期検査に行った。 ブラッシング、うまく出来てますよ~、と言われた。
その帰りに、裏道を歩いた。 途中で、アパートが一棟消えていた。 更地になり、水道の新規工事が行なわれているらしい。 通り道が工事中ではなかったが、安全のため警備の人が三人付いていた。 端にそれぞれと、真ん中の曲がり角にひとり。
で、わたしが歩いて行くと、なにやら声が聞こえた。 最初の警備員を通り過ぎると、今度は後ろからハッキリ聞こえた。
「男性ひとり、徒歩」
「了解」
無線で連絡しているのだ。 その場所の西には大きな木が沢山あった。 武蔵野の面影ともいえる立派な木が。 実はこの件とは別に大きな道路工事が予定されているので、そちらが理由かもしれないけれど、木の枝は無惨に切り落とされている。
その姿が青空に浮かび上がっているので、撮影しておこうと思った。 立ち止まってバッグからカメラを出し、撮影開始。 また声が聞こえた。
「男性、カメラで写真を撮ってます」
「???」
その間にも人通りはある。
「女性、自転車」「もう一台」
「了解です~」
そして、数枚を撮り終えたわたしは、三人目の警備員に笑顔で「お世話様でした」と礼を言い、その場を立ち去った。
その後、彼等が無線でわたしについて「何か」を話し合ったか、それは知らない。
幹が曲がっていると、踊っているようにも見えるし、苦しんでいるようにも見える。
形態が与える人の心への影響。