八王子へ行った。 駅近く、ビュータワー2階の「八王子市 夢美術館」。
何ゆえに「夢」なのか、それは知らない。
「北大路魯山人」の陶芸を中心とした作品が展示され、「魯山人の宇宙」が、
そこに展開する、というわけだ。 彼について、今更の説明は不要だろう。
作品を直に見る経験は少ないので、興味深く観察した。
何と言っても、その模造品のようなものはこの世に溢れているし、彼も過去の
歴史的成果を研究したわけだから、どれが彼を表すものか、素人にはなかなか
判断できない。 特にセラミックスは窯が作ってしまう部分があるので、彼の
意図を見抜くことはできない。
どれが、オリジンか。 なにがオリジンか。
そんなことを出来るだけ気にしないで、美しい造形を楽しむことに専念した。
気が合う部分が多い。 誤解を招きたくないが、これは自分が作ったもので
あるような錯覚をしてしまう。 改めて言うが、これは気が合うということに
過ぎない。 共感する(している)という意味だ。
食と食器の関係を、ここまで考え抜いた人は居ないと言われる。
こういう人を「グルメ」と呼ぶのだろう。
料理を作る能力、味わう能力、分析する能力。 素晴らしい食器の数々を見た。
ポスター等にある作品は、織部の花器だが、作陶の勢いと緻密な仕事が誰の目に
も鮮やかに見て取れる。
どれが気に入ったか、同伴者に尋ねてみれば、大体同じところを突く。
未使用の陶磁なら、傷んではいない。
ちょっと手に取ってみたくなるのは、わたしだけではないだろう。
織部を目にして、英語を母語とする人(母国語という意味ではない)、が発音
するとその音に驚く。 その緑はオリーヴ色だ。
オリヴ、最初の「オ」にアクセントがある。「オリヴ」。
それが「オリベ」と聞こえる、この不思議。