どのチームのファンというわけでもないので、気楽に観戦を楽しんだ。
強いて言えば、ヤンキースがポストシーズンで最初に倒したミネソタを応援
していた。 ミネソタ・ツィンズ。 お金が無く弱いチームとも言える。
中地区の1位だったが、地区シリーズではクローザーの「ネイサン」が不調。
哀れなほど、抑えに失敗した。 まさに、呪いが掛かっているとしか言えない。
ヤンキースは、リーグ優勝決定戦でエンゼルスを下し、ワールドシリーズへ。
相手のフィラデルフィア・フィリーズは強いチームだが、主砲のハワードが
爆発しないままに戦いを終えた。
ヤンキースの優勝と、マツイの「MVP」を決定づけた第6戦、彼は第1打席から、
良い状態にあるのが窺えた。 結果、全盛期の面影の無いペドロ・マルティネス
から先制のツーランホームランを放った。 その後ヤンクスが試合の主導権を渡す
ことは無かった。 マツイのバットがリードを広げていったからだ。
堂々たるMVPだと思う。
アメリカの野球ファンは数人の日本人を知っている。
日本の首相は知らないかもしれない。 しかし、西の果てのイチローも知って
いるし、ニューヨークのマツイも知っている。
アメリカの人たちの、「日本に対する」「日本人に対する」心持ちの在り方は、
色々な要素で成り立っているだろう。
しかし、政治的な訴えよりも、遥かに彼らの活躍が「親しみ」を与えていると思う。
親しみを与えることは大事だ。 これを広告でやったなら、いくら掛かる?
人々の心の中に醸成される「親しみの感情」が、やがて、国と国との親しみに
育ってゆくなら嬉しいことではないか。 彼らが結果的に「大使」である理由だ。
現在、日本にも沢山の国から人々が訪れている。
もちろん、残念だが、中には悪意を溜め込んで来る人間もいるだろう。
しかし、ひとりひとりが小さな大使、そして私達ひとりひとりも小さな大使なのだ。
Musik
勝者にはシャンパーニュが待っていた。 しかし、敗者も讃えるのが日本流である。
この三流ボクサーの「フィラデルフィア野郎」も試合には負けたが、
人生の勝利に向かって進んでゆく。
フィラデルフィア美術館の階段を駆け上るシーンが忘れられない。
「自由の鐘」が聞こえるようだ。